あの月が丸くなるまで

 ぎょ、として振り向くと、いつの間にか背後に一台の車が停車していた。どうやら、この家に入るらしい。

 あわてて脇にどく。と、案の定その車は門の中に入っていった。敷地内に入ると一旦止まって、運転席から男性が一人降りてくる。

「何か、ご用ですか?」

「あ、いえ、その……」

「おや?」

 うろたえる私に、その男性がいぶかしげな声を出した。

「あなたは……」

「……あ」

 じ、とまっすぐに見てくるその顔に見覚えがある。

 以前、上坂に声をかけてきたお父様の秘書という人だ。



「こんにちは」

 私は、ぺこりと頭を下げた。