あの月が丸くなるまで

「親が、最善だと思う未来を子供に歩ませたいと願うのは当然のことだ。けれど、もしそれが、子供本人の希望を潰しているとしたら、両者の間にはきちんとした話し合いが必要になる。もし彼が本当は政界入りを目指していないのなら、僕はもう一度、彼の親御さんとそのことを話し合ってみなければならない」

 翻訳したような話し方は、英語教師のくせなのかな。

「へー、弘さん、まるで先生みたい」

「まるでじゃなくて、これでもちゃんと先生です」

 苦笑しながら冴子を仰いだ小早川先生の顔は、普段見ている英語教師、とはやっぱりどこか違った。その笑顔のまま、私の方に向き直る。