あの月が丸くなるまで

「その考え方が、すでにうっとうしい。だいたい、あんた彼女なんだから、堂々と乗り込んでもいい立場じゃない」

「彼女っていっても……」

「ほら、行くよ。早くしないと、先生、クラブ行っちゃうから」

「小早川先生って、どこの顧問なの?」

「囲碁」

「……しぶいね」


 乗り気でない私の手を、冴子は引っ張って立ち上がらせる。教室から出る時に何気なく視線を感じて振り返ると、青石さんと目が合った。

 青石さんは、何かを言いかけたようだったけれど、冴子に引っ張られていた私はすぐに廊下にでてしまった。彼女の、いつもみたいにバカにした笑顔じゃない、もの問いたげなその表情が、少し、気になった。



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