あの月が丸くなるまで

「はい美希ちゃん、笑って」

 そして私の肩を抱くと、スマホをこちらに向ける。ちろりん、と軽い音がした。



「それ、まさか……」

「そう。蓮に送ってやるの」

 きししと笑いながら、岡崎さんはぽんとスマホの画面を押した。

「さて、蓮のヤツ、どう出るかな」

「私が誰と一緒にいようと、あいつは気にしませんよ」

 ずずーっと、残りのアイスオレを一気に吸い上げる。

「だったら、俺が美希ちゃんをもらっちゃってもいいよね」

「それで一週間たったらさよならですか」

「それはつきあってみなけりゃわからない。でも」

 岡崎さんは、目を細めて私を見た。

「君は、そんな簡単に放り出せるような人じゃない気がする」

「恨まれそうですか?」

「え、そういう人なの? 君」