あの月が丸くなるまで

「でも……」

「もう一週間近く、上坂からはなんの連絡もありません」

「え? メールとか、ガン無視?」

「してないです。メールもラインも、電話も」

「なんで?」

「別に……用もないですし」

「喧嘩でもしたの? 学校で会っても無視、とか」

「そもそも、会っていないです。学校にも来ていないから」

「どういうこと?」

 岡崎さんが、椅子に座りなおして身を乗り出す。

 からからとストローを意味もなくかき回しながら、私は、先週病院から帰っていった上坂と、それ以降の音沙汰がないことを話した。



「うーん……本人に何かあったんなら俺の耳にも入るだろうから、無事ではいると思うけど、何やってんだろうな」

 岡崎さんは、首を傾げながら考えている。