あの月が丸くなるまで

「あいつらだって学校行ったら真面目な優等生だ。お互いそれは、わかってた。学校や家で吐き出せない分、集まった時にはバカばっかりやってる」

「はあ……」

「俺の周りにいるのは、そんな風に薄っぺらいヤツばかりだった。男も、女も。だから、美希ちゃんみたいな彼女がいる蓮が、少し羨ましい」

「私……ですか?」

 いきなり、なんで私がそこに出てくるの? つながりが、よくわからない。



「それほど君と話したことがあるわけじゃないけど……蓮が君を好きになった理由は、なんとなくわかる気がするよ」

「そんなんじゃ、ないんです」

 私は、半分ほどになったグラスに視線を落とす。

「上坂にとっては、私も必要な人間じゃないんです」