あの月が丸くなるまで

「お気遣いありがとうございます。大丈夫です。知ってましたから」

「……同じ学校なら知っててもおかしくないか。だからさ、こないだみたいに自分の彼女を俺たちから隠すのって、実は初めて見た」

「それは、私があなたたちと一緒に遊べるほど器用でも可愛くもないからじゃないですか?」

「美希ちゃんって、自己評価低い?」

「卑下してるわけではないですけど……岡崎さんみたいに自信満々というわけでもないです」

「俺の場合は、そうするように要求されて生きてきたからね」

 私は顔をあげて、つかみどころのない笑みを浮かべる岡崎さんを見つめた。