あの月が丸くなるまで

「たまにはいじめられるのもいいいかな。君みたいな美人なら、それこそ徹底的に、ね」

 ……図星、ついちゃったのね。いくら私の機嫌が悪かったからって、悪いことしちゃった。

 謝ろうとする私を手先で制して、岡崎さんがにっこりと笑う。

「まあ、俺も大人げなかったと思うから、お詫びに、少し昔話をしてあげる。大丈夫、悪い話じゃないよ」


  ☆


 私たちは駅前のオープンカフェでお茶することにした。

 友達とお茶するくらいデートとは言わないよ、と岡崎さんにうまく丸め込まれて向かい合って座る。これ以上真面目と言われ続けるのもなんとなく癪に障る、なんてこっちも少し意地になっていたのは否めないけど。

 というか、私、いつこの人と友達になったんだろう。