あの月が丸くなるまで

「美希は、強いな」

「そう?」

「うん。強いし……俺より、よっぽどでかい」

「強いはともかく、でかいってなによ」

「負けた、ってことだよ」

「あら、私、勝ったの? やったね」

 ふたりでくすくすと笑っていると、カーテンをあけてママが顔を出した。



「美希、具合どう?」

 上坂が、あわてて手を離して立ち上がる。

「今は平気。どうだった?」

「ん、どこも異常なしよ。でも、まだ頭を打って半日経ってないから、大事をとってこのまま一晩入院することになったわ。今病室を用意しているから、もう少しここで待っていて」

「入院? やだなあ」