「美希が転んだボール……意図的にお前を転ばせようと、足元に転がされたものなんだって。小野さんが言ってた」

「……え……?」

「やったのは、恵美だって」

 恵美……玉木恵美。

「無様に転べばいい、くらいの軽い気持ちだったそうだ。こんな大事になると思ってなかったって、本人たちも青ざめていた」

「たち、なんだ」

 は、と上坂が顔を上げた。私は、目を閉じる。



 実際にボールを転がしたのは玉木さんだったとしても、けしかけたのは青石さんかもしれない。どちらにしても、私を狙ったことには変わりない。

 理由なんて、わかってる。

 私が、今、上坂の彼女であるから。