「気持ち悪くなったら、すぐ言えよ」

 上坂は、ずっと私についていてくれた。

「ありがと」

「横向いてた方が楽?」

「気持ち悪いわけじゃないの。後ろ頭痛くて、上向けないだけ」

「ああ……でっかいたんこぶできてるもんなあ」

 CT取ってる間は我慢して上向いていたけど、今は横になっている。これでばかになったら、本気でどうしよう。公式の一つとか歴史の年号とか忘れてそう。


「バレーボール踏みつけて転ぶなんて、私そんなにドジなつもりなかったんだけど。このままじゃ、受験が思いやられるわ」

「違う」

 重い空気を笑い飛ばそうとした私に、上坂は顔を引き締めて呟いた。

「違うんだ……」

「何が?」