「もし、上坂が本気だったら、あんたどうする?」

 ポールからネットを外していると、冴子がぼそりと言った。

「ないって、そんなこと」

「あいつ、うまそうだし、初めてでも痛くないかもよ?」

「そういう問題? 私は、誰でもいいわけじゃないわよ」

 笑いながら、外れかけたネットをまとめるために歩き出した時だった。

「美希!!」

「え? ……きゃ!」

 冴子の切羽詰まった声が聞こえた瞬間、何かを踏んでしまってバランスを崩す。仰向けに倒れていく私の上に、太いポールが迫ってくるのがスローモーションのように目に入った。

 あー、私の持ってたネットに引っ張られちゃったんだー……