「だって、美希って丈夫そうだし。何食べても、腹壊しそうにないじゃん」

「まずかったら一口も食べてやらない」

 べ、と舌を出した時、上坂のスマホが鳴った。けれど、それをちらりと見ただけで、上坂は電話に出なかった。

「鳴ってるよ?」

「うん」

 そのまま、お弁当を食べ続ける。その様子に、私は首をかしげた。

「いいの?」

 言ってるうちに、電話は切れてしまった。上坂はようやくスマホをとると、そのまま電源を落としてしまう。

「ごめん。うるさかった?」

「そんなことないけど……出ても、いいよ?」

 というか、今まで誰から電話がかかってこようが、私なんか気にせず出てたでしょうが。

「いいんだ」

「……はあ」


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