「今度は、ちゃんと弁当に挑戦してみようと思って」

「甘いわね。素人がいきなりこのレベルにたどりつくなんて、思わない方がいいわよ」

 私だって、散々卵焼き失敗してきたんだから。

「ふふふ、俺の手先の器用さをなめんなよ。俺はやればできる子なんだ」

「せいぜい、失敗するように祈っているわ」

「失敗かよ! そこは成功するように祈ってよ!」

「だって、料理なんて失敗してなんぼでしょ。そうやって少しづつ覚えていくものなのよ」

「でもできれば成功したい……食べるのは美希なんだし」

「私? なんで?」

 一瞬なぜか言葉を詰まらせた後、上坂はにやりと笑った。