「親父はいなかったし、母さんは驚いた顔してたけど何も言わなかったな。花村さんに、塩とかのりとか教えてもらった」
「花村さん?」
「家政婦さん。俺が生まれた時からうちにいるばあちゃんだよ」
「そうなんだ」
初めてにしては塩加減が絶妙だと思ったら、家政婦さんに教えてもらったのか。どうりで美味しいと思った。あ、中身、こんぶだ。
「俺にもさ、できるんだ」
ぽつり、と私のお弁当を見ながら上坂が呟いた。
「ん?」
「俺、今まで料理なんて、女がやるものだって思ってた。最近は男もそういうのやるらしいってのはもちろん知ってるけど、結局、それを知ってても、俺の中で料理ってのは他人事だったんだ。……やってみれば、普通にできるもんなんだな」
「……美味しいよ。このおにぎり」
もう一度言ったら、顔をあげた上坂が、にこりと笑った。
「花村さん?」
「家政婦さん。俺が生まれた時からうちにいるばあちゃんだよ」
「そうなんだ」
初めてにしては塩加減が絶妙だと思ったら、家政婦さんに教えてもらったのか。どうりで美味しいと思った。あ、中身、こんぶだ。
「俺にもさ、できるんだ」
ぽつり、と私のお弁当を見ながら上坂が呟いた。
「ん?」
「俺、今まで料理なんて、女がやるものだって思ってた。最近は男もそういうのやるらしいってのはもちろん知ってるけど、結局、それを知ってても、俺の中で料理ってのは他人事だったんだ。……やってみれば、普通にできるもんなんだな」
「……美味しいよ。このおにぎり」
もう一度言ったら、顔をあげた上坂が、にこりと笑った。



