「いただきます」

 私は、巻いてあるラップをとって、一口かじってみる。ちらちらと、上坂が私を見ていた。


「ど?」

「……上坂」

 もごもごと口にご飯を入れたまま、お行儀悪く私は呟く。

「握る時に、力入れすぎ」 

 持った時に、大きさのわりに重いのが気になったよね。どれだけ力一杯握ったのよ。

「え? だっておにぎりって、握るんでしょ?」

「そうだけど……もっとふわりと仕上げないと……ご飯がつぶれちゃってるじゃない」

「えー……そっかあ……」

 がくりと肩を落としてしまった上坂に、私はさらに続ける。

「でも、形はすごく綺麗だわ。塩加減もばっちり。味は悪くないわよ、これ」

「ホント?」

 とたんに、ぱっと上坂は笑顔になった。