「ん」

 週明けの月曜日。いつもと同じように屋上でお弁当を渡したら、上坂がかわりに、ずい、と紙袋を差し出してきた。

「あげる」

 なぜか上坂は、少し赤い顔をしてそっぽを向いている。

 不思議に思いながら受け取ってその中をのぞきこむと、なにかかたまりが入っていた。取り出してみると、それはラップでくるんだ二つのおにぎりだった。


「どしたの、これ」

「美希がやってみれば、っていうから、作ってみた」

「は?」

 言われて改めてそのおにぎりへと視線を落とす。

 きちんとのりで巻いたそれは、きれいな三角形をしていた。

 まさか……

「上坂が作ったの? これ」

「まあ……」

「食べて、いいの?」

「うん」