「彼氏と危険な男が同じ属性ね。私って、そんなに軽く見られてたんだ」

 からかうように言ったら、上坂が無言になった。そのまま、じ、と私の顔を見つめている。

「上坂?」

 怒ったのかな?


 けれどしばらくそうしていたあと、上坂は、目をそらして思い切り大きなため息をついた。

「どうしたのよ?」

「…………………………何でもない」

 そうして私の方を向かないまま私の手を取ると、今度はがっちりと指を絡めてつないだ。

「遅いし、送るよ」

「? うん」

 なんだろう。

 めずらしく無口な上坂と、私は駅へと向かった。