あの月が丸くなるまで

「必要があれば、きっと上坂が話してくれます。そうでなければ、私には必要のない話なのでしょう。どちらにしても、面白おかしく他人から聞かされる話ではないと思います」

 岡崎さんは、笑みの消えた顔で私を見下ろしている。

 と。


 バンッ!!


 急に大きな音がして、私はびくりと肩をすくめた。岡崎さんと二人で音のした方を振り向くと、ガラスの壁の向こうに、なぜか息を切らした上坂が立っている。どうやら、今の音は上坂が思い切りそのガラスを叩いた音らしかった。


「上坂? どうしたの?」

 入口を回って中に入ってきた上坂は、ぜいぜいと息を整える。