あの月が丸くなるまで

 岡崎さんは、目を細めてくすくすと笑っている。私たちは、エレベーターを使わずに階段を下りた。さっきの女子達と鉢合わせして、ぎすぎすと睨まれるのは避けたい。同じように思ったのか、岡崎さんも何も言わずに一緒に階段を下り始めた。

「あの教室で模試受けてたってことは、君も理系?」

「薬学部志望なんです」

「薬剤師? 実家が、医者とか」

「そうではないですけど……母が看護師なんです」

「ふうん。うち、実家が総合病院でさ、俺、医大目指しているんだ」

「お医者さんですか。大変ですね」

 階段を下りながら適当に相槌を打ったら、岡崎さんは苦笑した。



「梶原さんさ」

「はい」

「もっとこう……俺とお近づきになりたい、とか思わない?」

「はい? 何でです?」