あの月が丸くなるまで

「だって、今日の美希、めちゃくちゃかわいいもん」

「っな、ことっ……!」

「試しに、一人で歩いてみる?」

 そう言われて、さっきの男子たちのまとわりつくような視線を思い出した。体中を品定めするような視線は、今思い出しても足がすくむ。

 大丈夫、っていつもみたいに強がるのは簡単。でも本心は……本当は、こんなとこで一人にされたくない。普段ははかないスカートなんかはいているのも、心細い気持ちに拍車をかけているのかも。

 それでも、置いていかないでなんて、上坂相手に口が裂けても言えるわけない。

 結局私は何も言えずに、ただ無言で、きゅ、と上坂の袖を握っただけだった。

 上坂は一瞬だけ目を丸くして、それから穏やかな笑みを浮かべる。