あの月が丸くなるまで

「今日は、サービスだって」

「でも」

「前々から、彼女出来たら紹介しろって言われてたんだ。ケンジさんも可愛い女子高生いじれて楽しんでたから、それで帳消し」

 上機嫌な上坂は、美容室の中からずっと私と手を繋いだままだった。


「ケンジさん、仲よさそうだったね」

「うん、ケンジさんにはいろいろとお世話になってる」

「ふーん。だから、いつも彼女連れてくんだ」

 なるべく感情を込めないように言ったら、上坂が私をのぞきこんできた。




「気になる?」

「全然」

「うわ、そこは気にしようよ。むしろ聞いてよ」

「私には関係のない話だもん」

「あるでしょ。美希は俺の彼女なんだし」

「期間限定だけどね」