あの月が丸くなるまで

 いわゆる、ナチュラル系って言うのかな? それほど濃い化粧をしているわけでもない。髪型はかなり変わっているけれど、染めているって程の色もついていないし、パーマをかけたって程のウェーブでもない。なのに、少し少しが積み重なって、いつもの私とは全然違う。自分が可愛くなることがこんなに嬉しいなんて知らなかった。

 そうか。女の子はみんな、こんな気分になりたくておしゃれをするものなのね。


「気分は、どう?」

 足取りの軽い私に、上坂は満足そうに微笑んだ。

「悪くない」

「ああ見えてもケンジさん、超売れっ子のメイクアップアーティストなんだ。ケンジさんにメイクしてもらえるなんて、レアなんだぜ?」

 妙に誇らしげに、上坂が言った。

「そうなんだ。でもこれ、あんたの手柄じゃないで……あ、私、お金……!」

 ああいうとこって、メイクだけでもお金、かかるよね。