あの月が丸くなるまで

「原石がいいから、ちょっと磨いただけでここまで光るのよ。蓮、すごい掘り出し物ね!」

「でしょ? 今のままでも十分綺麗だけど、手を入れたらどうなるかな、と思って連れてきたんだ」

「まだまだ開発しがいがありそう。ぜひまた連れていらっしゃいよ」

「機会があったらね」

 椅子から立ち上がった私に、上坂は手をさしだした。

「さ、行こうか、お姫様」


  ☆


 テンションの高いケンジさんに見送られて、私たちは美容室を後にした。

 さっき鏡で見た自分の姿で外を歩いていると思うと、なんとなく気分が弾む。うん、いつもより背筋が伸びる。