あの月が丸くなるまで

 仲、よさそうだな。ここ、上坂の行きつけってことなのかしら。いつも近所の美容室しか行ったことないけど、ここがかなりの高級な美容室だというのはわかる。


「さ、できたわ。はい、めがね」

 カットクロスを脱がせて、ケンジさんがめがねを渡してくれる。それをかけると、満足そうなケンジさんの笑顔が見えた。

「いい? これから私が美希ちゃんにかわいくなるおまじないをかけるわ。ビビディ、バビディ……」

 聞いたことのある魔女の呪文を唱えながら、ケンジさんはくるりと椅子を回した。

「ブー!」

 カールした髪が、ふわりと浮いた。鏡の正面に座った私は、そこに映る自分に目を見張る。

 そこにいたのは、栗色の髪をした可愛い女性。