あの月が丸くなるまで

「俺とつきあったら、楽しいよ。梶原さんの知らない、気持ちいいこと、いっぱいしてあげる」

「……私なんかの、何がいいの?」

「何言ってんの。梶原さん……いや、美希って呼んでいい? 美希は、素敵だよ」

 少しだけ顔を傾けて、上坂が私に顔を近づけてきた。

「美希…………ぐあっ!!」

 膝をまげて体を落とした私は、かがんでいた上坂の顎に、思い切り頭突きをかましてやった。のけぞった上坂は、その場にどすんとしりもちをつく。

「ってえええ……」

「許可もなく女性に触れようとするとこうなるの。覚えておいて」

 殴り返されても仕方がない覚悟でやったけど、上坂はあごをさすりながら、けたけたと笑い出した。