あの月が丸くなるまで

「なになに、俺がかっこいいって? 色気を感じるって? 素敵だって?」

「ちょっと、蓮! アイロンの前に顔出さないでよ。こげても知らないわよ」

「ああ、すんません」

 のんきに謝って上坂は顔をひっこめた。

「まったくもう。あら、美希ちゃん、熱い? 顔が赤いわ」

「いえ、大丈夫です……」

「熱かったら言ってね」

 そう言うとケンジさんは、またブロックに分けた私の髪をくるくると巻き始めた。

長い髪がケンジさんの手でふわふわに変わっていく。

 その様子を興味深く見ていると、私の後ろで上坂も真剣にその手つきを見つめているのに気づいた。鏡越しだったけど、その眼は、私が思っているように何をしているか興味津々、という視線とはちょっと違うような気がした。

 それはケンジさんに言わせれば、『真面目』な視線だ。

 上坂?