あの月が丸くなるまで

「そうでしょうか」

「そうよ。だって、真面目って、相手に対して真剣、ってことでしょ」

 鏡越しにケンジさんに視線を向けると、それに気づいたケンジさんが目を合わせてにっこりと笑った。


「ほら、今どきの子って、なんにでも適当な子が多いじゃない。今だけ、自分だけが楽しければいい、って刹那的な風潮があるし。ちょっとめんどくさくなるとすぐ投げ出すし、何事も上っ面しか見ないのよね。アタシが真面目って言ったのは、そのいい加減さがないのかしら、ってことよ、美希ちゃんて、そういう人たちから浮いていそう。アタシは好きだけどね」

 まあ、浮いているのは確かだけど……この人は、それを好きって言ってくれる人なんだ。

 少しだけ緊張が解ける。そんな私の髪をいくつかに束ねたケンジさんは、腰のバッグからハサミを取り出した。