あの月が丸くなるまで

「鷹高……何?」

「知らないの?」

 目を丸くした私に、上坂は面白そうに続けた。

「梶原さんと、小野さん。二人合わせて鷹高クールビューティーの双璧って呼ばれてんだけど」

「はあああ?」

 私と冴子? 確かに、冴子は知的な美人だからそう言われるのもわかるけど、私は……

「ねえ、もう一回笑ってよ」

「楽しいこともないのに、笑ったりできないわ」

「ならさ」

 とん、と、上坂が軽く私の肩をついた。ふらついた私は、そのまま、道沿いの塀に背を押し付けられる。

「何を……」

 どん。

 その状態で上坂を見上げた私の顔の横に、やつが手をついた。

 ……あー、これ、知ってる。あれだ。

 壁ドンってやつ。