あの月が丸くなるまで

「ふふふふふふふ、いいの? アタシ好みのアレンジで」

「もう、思う存分。ケンジさんの心のままに」

「わかったわ。期待してね! さああなた、お名前は?」

「梶原、美希です」

「美希ちゃんね。こっちへいらっしゃい」

「あの、どういう……」

「だいじょーぶよー。怖くないからね、アタシにすべてを任せて」

 上坂へと視線を向けると、やつはへらへらと笑いながら私に手を振る。

「ちょっと、上坂!」

「だーいじょーぶ、だーいじょーぶ。俺も後で行くから」

 よくわからないまま、私は美容院の二階へと連れ込まれてしまった。


  ☆


 連れて行かれたのは、鏡と椅子、それとシャンプー台が据え付けられている個室だった。

 こういうタイプの美容院て、初めて見た。二階の廊下には同じようなドアが他にもあったけど、あれも個室なのかな。