あの月が丸くなるまで

「俺の髪も、綺麗だって言ってくれたよね」

「そうだっけ?」

「またまたー。でもこれ、雨の日だけはだめなんだ。少ししけってくると、すーぐくるくるくるーって」

 おどけながら言ったその顔に、思わずくすりと笑ってしまう。

「美希も、こういう髪にしてみたいって思う?」

「私には、似合わないわよ」

「んー、確かに美希にはロングストレート似合ってるけど……」

 上坂は少し考えるそぶりを見せると、ぽん、と手を叩いた。


「ね、映画の時間ずらしてもいい?」

「いいけど……なんで?」

「行きたいとこができた」

「どこ?」

 今日は、映画を見に行く予定だったからスカートだったけど、歩くんだったら、今ならまだ着替えに戻れる。

「まあいいから、ついてきて」