あの月が丸くなるまで

「……上坂」

「ん?」

「あの……お金はちゃんと払うけど……このワンピース、ありがと」

 頬が熱くなって、少しだけ上坂から視線をはずす。

「こんなかわいい服、着たことなくて……すごく、素敵。似合うって言ってもらえて、嬉しかったわ。ありがとう」

 黙ったままの上坂が、どんな顔していたのかわからない。しばらくして、上坂が笑い声混じりのため息を吐くのが聞こえた。

「どういたしまして」


 それから、上坂は何かをふりきるように勢いよく伸びをした。

「よーし! あと、二週間。張り切って口説くぞー!」

「……ホント、物好き」

 私は苦笑しながら、肩を抱こうとした上坂の手をパシリと叩き落とした。