あの月が丸くなるまで

「多少見た目が悪くたって、まだ食えるって」

「見た目って……上坂、見てたの?」

 目を丸くした私に、上坂はやんわりと微笑む。

「だめだよ。こんなの……」

 私はあわててそれを背中に隠す。

 保冷材を入れてあるから食べるのに支障はないけれど……人にあげられるようなものじゃない。


「やっぱさ、一日一回美希の料理食べないと、調子悪くて」

「せ、製作者として、不出来なものを食べさせるわけには……」

「出来が悪くても、愛がこもっていれば美味しいって言ってたじゃん」

「な……愛なんて、これっぽっちだって入ってないんだから!」

「はいはい。それ、俺以外の人間が食べるの禁止な」

 笑いながら言った上坂に、ふと、気付く。

 もしかして……服を買ってくれたり食事に連れてってくれたのは、あの場面を見てたから……? 

 あの時、うっかり泣きそうになった私の事、上坂なりに慰めてくれた……?