あの月が丸くなるまで

「こんなとことは失礼ね。あんたより、ずーっと前から人の役に立っている立派なタワーよ。電波塔としての役目を終えたからって、この存在感はたいしたもんじゃない」

 真面目に言ったら、上坂が声をあげて笑った。そうして、私との間の距離を縮めて、肩を寄せる。


「ね、俺、美希の彼氏だよね?」

「……今のところは」

「キスしていい?」

「だめ」

「いいじゃん」

「だーめ」

「ちぇー。ちょっとはさあ、この雰囲気に流されてみようとは思わない?」