あの月が丸くなるまで

「やっぱいいな、美希って。すげえ、かっこいい」

「すげえ、も、かっこいい、も、女性に対する褒め言葉じゃなくてよ?」

「あー……違いない。でも、他に言葉が浮かばない」

「やっぱり上坂も、私を女扱いしてないじゃない」

「じゃあ、めちゃくちゃ女扱いしていい?」

「…………遠慮する」

 何故か上坂はくすくすと笑いだした。ひとしきり笑うと、すっきりしたような顔で小さく息を吐く。


「ここ、親父と喧嘩するたびに、よく来るんだ」

「彼女連れて?」

「女連れなら、こんなとこ来ねえよ。だいたい女って、こんなとこよりヴィーナスフォートとか夢の国とかの方が好きじゃん」