あの月が丸くなるまで

「そう、だったんだ……」

 うなるようにつぶやくと、上坂は、また前を向いてしまった。そうしてしばらく黙っていたあと、静かに言った。


「俺の話も、聞いてくれる?」

「うん」

「今じゃなくて……いつか」

「うん」

「笑うなよ?」

「笑わないわよ。っていうか、誰かに笑われたことあるの?」

「いや……家族にも、友達にも、話したことすらない。第一、言ったってバカにされるだけだ」

「そう?」

「ああ。でも……なんでかな。美希なら、笑わないで聞いてくれそうな気がした」

「人の本気を、笑ったりしないわ」

 振り向いた上坂は、私のことをまじまじと見つめた。それから、力が抜けたように、ふ、と笑みを浮かべる。