あの月が丸くなるまで

「なら余計に。彼氏とか彼女だったら、こんな風に一方的な関係じゃなくて、ちゃんと対等の関係でいたいよ。私、こんなことされても、上坂に何も返せない」

「返すとか返さないとかじゃなくて、ただ喜んでくれたらいいんだよ」


 最初わけのわからないといった顔だった上坂は、話しているうちに、だんだんと不機嫌な顔になっていく。それはわかるんだけど、こっちも、かみ合わない上坂の言葉が苛立たしい。

「俺がしたいからそうするだけだ。返すとか、必要ない」

「そんなの、私は嫌よ。与えるだけ与えて自分だけ満足されたって、私の気持ちはどうなるの?」

「飯食って幸せで……なんで、それじゃいけないんだよ」

「だったらやっぱりちゃんとお昼代も払うわ。そんな風に押し付けられた幸せなんて、全然嬉しくない!」