あの月が丸くなるまで

「いいっていいって。美希が喜んでくれたら、それだけで俺、嬉しいし」

 ぎこちなく笑いながら、上坂が軽く言った。その様子に、さっきから抱いていたもやもやがさらに強くなる。

 そうね。こんな高級レストランでツケで食事できちゃう上坂にとっては、ほんの軽い気持ちのつもりかもしれないけど。



「……喜ばない」

「は?」

「こんな高いものもらっても、私は、嬉しくない」

「美希……?」

 いぶかしげな顔になった上坂に構わず、私は強い……きつい調子で続けた。



「普段の私が買えるようなものじゃないものをもらっても、全然嬉しくない。もらう理由だってないし」

「理由なんて……俺、美希の彼氏だよ? それで十分だろ」