あの月が丸くなるまで

「ごちそうさまでした。とても、おいしかったです」

 と、なぜかその男性は目を丸くした。でもそれも一瞬で、すぐにまた笑顔に戻る。

「お気をつけて。ぜひまたおいでください」

 そのお誘いに気軽に、はい、とは言えず、あいまいに笑って私は上坂の後を追った。


 店の外で私を待っていた上坂に追いつくと、上坂は妙な顔で私を待っていた。

「あの……ごちそうさま」

 ぺこりと頭を下げる。

 どうせ手持ちもないし、いいや、ここは素直におごられておこう。どれほど高いランチだったのかなんて、考えるのはちょっと怖いけど。

 顔をあげると、上坂はめずらしく真面目な顔をしていた。

「上坂?」

「ああ……うん……」

「でも、こういうの、もうやめてよ。ワンピース代は、来月お小遣いもらったらちゃんと払うから」

 ブティックでちらりと見た値札は三ヶ月分のお小遣いが飛んでく額だったけど、もらいっぱなしってわけにはいかない。