あの月が丸くなるまで

「大げさだなあ。そこそこうまいとは思うけど」

「あんた、この料理を食べて感動もしないなんて、人生絶対損してる!」

「……まあ、喜んでくれたならいいよ」

「うん、嬉しい。連れてきてくれて、ありがとう」

 食べ物につられて機嫌よく笑った私に、上坂は目を丸くして口をつぐんだ。

 けど、ふと気づく。

 こんな美味しい料理を食べ慣れている上坂。そんな人に私のお弁当って、どうなんだろう。私の作るお弁当と言ったら本当に普通の庶民的なものだもんなあ。夕べのお夕飯の残りとかいれちゃうし。


 ついつい手を止めて考え込んでいた私の耳に、独り言のようなつぶやきが聞こえた。

「もっとつまんない奴かと思ってたのになあ……」

 顔をあげると、どことなく途方にくれたような上坂と目があう。