あの月が丸くなるまで

 メインは、牛肉。出してくれた人は、グリエって言ってたかな。直火で焼いた網の跡が食欲をそそる。周りにつけあわされた温野菜も、歯ごたえ良く肉の味を邪魔しない。しかもトリュフソースときた。……でも、どれがトリュフの味なのかよくわからない。食べたことないしなあ、トリュフ。


「……美希ってさあ」

「なに?」

 お肉の柔らかい歯ごたえとソースをじっくり味わっていると、上坂が感心したようにいった。

「こないだカツサンド食ってる時にも思ったけど、ホント、うまそうに食うよな」

「だって美味しいんだもの。こんな風にコースになっているお料理って、初めて食べた。美味しいご飯って、人を幸せにするよね」

 普段は食べられない豪華な食事に、私のテンションもあがっているらしい。