あの月が丸くなるまで

「か、上坂!」

「なに?」

「ここ……とてもじゃないけど、私のお財布で払えるような店じゃないでしょ?!」

「今日はおごり」

「だめだって!」

 ひそやかなクラシックの流れる店では、文句を言おうにもあまり大きな声も出せない。


 店の中にはぽつりぽつりとお客さんがいたけど、いずれもマダムや上品な紳士ばかり。どうみても、十代の私たちに似合うようなレストランじゃない。

 それに、店の前にメニューとか置いてなかったけど、テーブルに出されている料理を眺めるに、おそらくここ、かなり高級なフレンチのお店!


 その男性に通された席は、他の場所からは見えないように区切られた席だった。落ち着かないまま座ると、勝手に料理が運ばれてくる。ランチとは言っても、どうやらコースになっているらしかった。