あの月が丸くなるまで

「じゃ、これ着てくんで」

 上坂は、そこに控えていた店員さんに振り向くと言った。いつの間にか彼女は、試着室に脱いであった私の制服を抱えている。

「かしこまりました」

「は?」

 店員さんは、驚く私の背後に回って、さっさと値札を切ってしまった。あたふたと混乱する私を、上坂が急かす。



「早く行こ。俺、腹減っちゃったよ」

「でも、服……!」

「ありがとうございました」

 にこやかに店員さんに見送られて店を出る。上坂の手には、二人分のカバンと、私の制服が入っているらしい紙袋が握られていた。