とある廃墟化したビルの一室の事務所、照明が不気味に点滅している。




突然、事務所の電話の鳴る音が響く。




垂れたさがるクモの巣を両手で払いのけながら慌てて歩き、机と椅子の間にできている僅かな細い隙間に太った体をこじ入れて椅子にドカンと座る探偵I。




埃だらけの電話に息を吹きかけ、咳き込みながら受話器を取る。




「はい、探偵Iです」