文化祭の準備は少しずつ、ロングホームルームの時間を使って行われた。


基本的に役がある人は演劇の指導を受け、それ以外の人が背景や小道具、衣装を作ることになった。


私は不器用なのでどれをやっても戦力外。


自ら完全なる雑用を引き受けた。


お茶を持っていったり、ペンキや絵の具のバケツを運んだり、段ボールを切ったり。


去年は去年で大変だったけど、今年はそれ以上。


去年はダンスやったんだよなぁ。


私は流行りに疎いけど、キラキラ女子たちがダンスしたいと言い張って聞かなかった。


私は運動も苦手だから悪戦苦闘した。


確かそう、りっくんが教えてくれたんだ。


バイトの合間を見計らって私の家に来て一緒に踊ってくれた。


そのかいあって私は無事本番を迎えられ、大きなミスをすることなく終えられたのだ。


お茶を置きに来たついでにちらりとりっくんを見ると、りっくんは一生懸命セリフを唱えていた。



「あっ、ちーちゃん!お茶ありがとう!」



めぐちゃんが駆け寄って来るものの、私は



「ごめんね。私行かなきゃ」



と行って逃げてきた。



「何あれ。ちーちゃん冷たくない?」



ドアの隙間から漏れ出るめぐちゃんの本音が私の心を冷凍していく。


このまま凍って学校に来られなくなった方がマシ...。


そんなことを思ってしまうのだった。