「ちーちゃんのクラスは劇か。しかも主役はあの2人」


「すごいよね」


「ちーちゃんは何役?」


「私は裏方だから出ないよ」


「そっか...残念」



私と空くんは新学期が始まってからというもの、毎日食堂で食べている。


私はおばあちゃん手作りのお弁当、空くんはカレーを食べる。


案の定がっかりさせてしまったけど、私が表舞台に立つのも違和感があると言われた。



「ちーちゃんは裏方がお似合いだよ。表の人より裏の人の方が大変だって知ってるから大丈夫。頑張ってね」


「うん、頑張る」


「でさ、僕のクラスはね、お化け屋敷やるんだ。僕はヴァンパイア役なんだけど似合うかな?」


「空くんなら、なんでも似合うよ」


「そう?なら、楽しみにしててね」



話が弾んでいるようで弾んでいないのを私はかなり気にしていた。


ノリが悪いとか、もっと楽しそうにしてとか言われないかと心配になる。


そしてそれに伴い食欲も減退する。


私は半分以上残して蓋を閉じた。



「ちーちゃんどうしたの?食欲無い?」


「最近ちょっとね。食欲湧かなくて」


「大丈夫?もし辛いなら一緒に病院行こうか?」


「いや、大丈夫。そのうち良くなるよ」


「無理しないでね」



私は無理しているのだろうか。


気がつかない内にストレスを溜めてしまっているのかもしれない。


休みたいけど気が休まる時はほぼ無い。


私が唯一休まるのは、自分の家だけ。


今日の夕飯は何かなと考えている時が1番楽しい。



「ちーちゃんと回れるの楽しみにしてるよ」


「うん」



頷いてもそれが私の本心じゃないことくらい、自分が1番良く分かっていた。