キミに伝えたい愛がある。

夏祭りの片付けはまだ行われていた。


主に若い男性達がせっせと働いていた。


私は境内の隅から隅まで祖母を探したが、全く見当たらなかった。


一体どこに行ってしまったのだろう。


来る時も会わなかったし、あと行くとしたら老人会で一緒のおばあさんのお宅かな。


手がかりが見つからず、うろうろしていると、急に後ろから声をかけられた。



「ちーちゃん久しぶり~」


「元気だった~?」



私を見下ろしていたのは、金髪3人組だった。



「俺たちのこと覚えてるう?」



覚えていないわけがない。


だってこの人たちは、私のことをいじめていたから。


小1の頃から目をつけられ、何か気に食わないことがあると、私を突き飛ばしたり、髪の毛を引きちぎったりしていた。


小5の時には水着を隠され、中学生になるとロッカーにカメラを仕込まれて盗撮されたり、美術部に押し掛けてきて絵を描いたスケッチブックを切り裂かれたりした。


そんな酷いことをしておきながら、よく今話しかけられるなぁと逆に感心する。


理解不能の図太い神経だ。



「ちーちゃんさ、今何してるの?」


「おばあちゃんを捜してるの...」


「ばあちゃん?そういえばちーちゃん、ばあちゃん子だったよな?煮物ばっかの真っ茶色弁当、今でも覚えてるわ!ははは!」



その高笑いが私は大っ嫌いだった。


人を見下すような、小馬鹿にするような言い方に腹が立っていた。


それは今も変わらない。



「おばあちゃんのことをバカにするのは止めて下さい」


「何?俺たちに口答えする気ぃ?」



私は逃げようと男たちに背を向けたが、一瞬で腕を掴まれ、地面に叩きつけられた。



「せっかく可愛くなったのに、口答えしたら台無しだよ」



髪の毛を引っ張られる。


痛いっていうより、こんなことにも対抗できない自分の無力さに失望していた。


変わらない。


変わっていない。


私も、この人たちも...。


私は一生このままなの?


苛められ続ける運命なの?


そんなの...やだ。


そんなのやだよ。


自分でなんとかしなくちゃ。



「止めて下さい!」


「は?何いってんの?俺たちにとって君みたいなのは絶好のエサなんだよ」


「今夜は俺たちと一緒さ」


「あの頃みたいに邪魔するやついないしな。さ、行くぞ!」


「止めて!離して!」


「っるせえ!」


「黙って言うこと聞け!」



男3人を倒すことなんてどう考えても出来ない。


私はこの人たちに......。



「お願い止めて!」


「さっきからうるせえんだよ!」