キミに伝えたい愛がある。

射的の結果は散々だった。


空くんは6回中1回は当たったけど、風船ガムで、駄菓子屋で買ったら10こ買える結果になった。


私はというと、1回も当たらず、すぐさまリベンジに輪投げをした。


しかし、ある意味抜群のコントロールで観客を沸かすと泣く泣くその場を後にした。



「僕達ゲームはやらない方が良さそうだね」


「そう...だね」


「よしっ!気持ちを切り替えて食べまくろう!夕飯は何にする?」



祖母の作ってくれる夏野菜のおでんが食べたくなった。


出汁から取って、トマトやオクラ、茄子、きゅうり、ピーマン、冬瓜、トウモロコシなどを弱火でじっくり煮込んで、それを一晩かけて冷蔵庫で冷やし、翌日にしみしみの状態で食べるんだけど、それがまた絶品なんだ。


毎日それでもいいくらい大好き。


だけど今はそんなのない。



「私、きゅうりの1本漬けと焼そばが食べたいな」


「へえ、きゅうりか。僕もそれにするよ。行こう」



空くんが私の右手を握った。


私は恥ずかしくなって俯いてしまったけど、空くんは涼しい顔をしているんだろう。


手に再び熱が蘇る。


熱帯夜に負けないくらい暑いなんて思う私は完全にのぼせてしまったのだろう。


空くんのカノジョというより、飼い犬のように彼に連れられていたのだった。