キミに伝えたい愛がある。

私は莉音ちゃんのこんな悲しそうな、壊れそうな顔を初めて見た。


莉音ちゃんをこんな顔にさせてしまったのは、完全に私のせいだ。


中途半端に付き合ってしまったこと、


今も微妙な関係であること、


好きになれなかったこと、


自分の気持ちを伝えられなかったこと、


その全てがこの結果を生んでしまった。


これ以上、私のせいで、私のために傷つく人を増やしたくない。


はっきりと伝えなければ。


私は意を決して口を切った。



「私...空くんと付き合ってた。


でも、好きになれなかった。


空くんは私のことを好きになってくれて、私が抱えきれないくらいの愛をくれた。


愛が強すぎて私は潰された。


私の器が大きかったら、もっともっと受け入れられていたかもしれない。


私の自業自得なの」



「何それ。


空先輩のこと好きじゃなかったんですか?


好きじゃないのに、なんで付き合ったんですか?


愛が重すぎて潰れるとか意味分かんない!


こっちは何年も好きなのに振り向いてもらえなくて辛い思いしてるのに、なんなんですか?!


愛してもらってるくせに贅沢なこと言わないで!


振り向いてもらえないこっちの気持ちも考えてよ!!」



散歩中のマダムに睨まれ、ランニング中のお兄さんには立ち止まって2度見された。


そのくらいの大声が辺りに響き渡った。



「ごめんなさい。謝っても許してもらえないのは分かってるけど、謝らせて。
本当にごめんなさい...」


「あなたに人を好きになる資格なんてない!2度と私の前に現れないで!」