キミに伝えたい愛がある。

私は顔を上げてりっくんを見つめた。


りっくんの瞳には涙が充填していて今にも溢れ落ちそうだった。



「りっくん...ごめんね。また迷惑かけちゃった。本当にごめん」


「ちー、謝るなよ」


「えっ...」


「俺はちーに迷惑かけられても怒らないし、俺がちーを助けたいからこうしてここにいるんだよ」



りっくんの言葉に再び胸が熱くなって泣き出しそうになる。


そんな私に気付いてりっくんは優しく頭を撫でてくれる。


その手にどれだけ救われたことか。


どれだけ救われてもまたその手を求めてしまう。


その温もりを感じたくて。


その温もりに触れたくて。


私は何度も何度も間違いを冒してきたのだろうか。


りっくんを求める自分とさよならしなくてはならない。


ここで本当に終わりだ。


ピリオドは自分で打たないと意味がない。



「りっくん、今までありがとう。私、りっくんがいてくれなかったら潰れてたと思う。りっくんを支えにして生きていくのはもう止める。だから...」


「一旦その話は置いといて...。ちーに問題です。今日は何の日でしょうか?」


「えっと、それは...」


「答えてないけど、これあげる。ちーの好きなやつ」



りっくんは可愛く綺麗に包装された 四角い箱を渡してきた。


私は受け取って中を見てみる。



「あっ...これ」


「俺からちーへの逆バレンタイン」



16こものチロルチョコが敷き詰められていてびっくりした。



「私がこれ好きだっていつ知ったの?私、言ってないじゃん」


「言わなくても見てれば分かるよ。ちー、俺ん家来ると真っ先にそれとって食べるし、ラジオ体操のご褒美も毎回それだったじゃん」



りっくんは私のことを良く知ってる。


観察眼が鋭いのかもしれない。


それに引き換え私は、りっくんに頼ってばかりでりっくんを助けてあげられないし、りっくんの好きなものも作ってあげられない。


今日だってりっくんにはあげないって決めていたからチョコ持って来なかったし。



「りっくんお返しは...」


「いらないよ。ちーがチョコ食べて笑ってくれたらそれでいい」


「いや、でも...」


「はいっ」



私が躊躇しているうちにりっくんが私の口にチョコを入れた。


久しぶりに感じる甘み。


チョコとミルクの絶妙なバランスと素朴な味が妙に安心感を与えてくれる。


疲弊した身も心も癒されたような気がした。